漫画家・作家のための税金相談室

以下のような点でお困りの方はお気軽にご相談ください。

個人事業主(フリーランス)の方

  • 連載で多忙を極めており、記帳及び確定申告の作業一式を委託したい。
  • ヒット作品が既に出ており、節税策を本気で考えたい。様々な対策を組み合わせて税額を抑えたい。
  • 過去と比較し、本年に所得水準が大きく伸びており、平均課税を適用するなどして、節税を図りたい。
  • 過年度において既に所得水準が大きく伸びているが、平均課税の適用を逃してしまった。今からでも税金を取り戻したい。
  • 今後アニメ化、実写化等により印税収入が高水準を推移する可能性が高い。今から対策をしておきたい。
  • 法人化を検討しており、事前に節税額のシュミレーション等をしておきたい。
  • 法人設立にあたり著作権の現物出資を考えている。
  • 今後のプロダクション経営におけるスキームを整理しておきたい。

プロダクションの方、または相続承継対策を考えたい方

  • 信託を活用して著作権にかかる権利の保全をしておきたい。
  • 原画・資料等の寄贈や寄託の可能性を探っている。
  • 作品・資料等や作家の功績を次世代に継承するため、財団法人の設立を検討している。
  • 著作権の譲渡または譲受を検討しており、著作権の価値算定を行いたい。
  • 相続税対策として、家族等の税負担を軽減する施策を探っている。
  • 相続対策の一環で著作権の財産評価をしたい。
  • ライセンス管理等を行うプロダクションの事業承継対策を検討している。
  • 作家ご自身の死後も可能な限り作品が流通・活用されるための施策を考えたい。

適用される税率を下げられる?!平均課税とは?

原稿料収入や印税収入の占める割合が大きい方は、平均課税という税額の計算方法を適用することで、税額を抑えられる可能性があります。

【平均課税を適用できる要件】
※変動所得とは原稿料収入・印税収入にかかる所得(儲け)のことです
Ⅰ その年の変動所得の金額が総所得金額の20%以上
Ⅱ その年の変動所得の金額が『過去2か年分の変動所得の金額の平均額』を超えること

原稿料・印税が主要な割合を占め、ここ数年で増収傾向にある漫画家や作家の方は平均課税を適用すると大きな効果が得られます!
なお、この平均課税は「青色申告者であること」や「本業として漫画家業・作家業を営んでいること」は要件ではありません。
そのため白色申告の方や、副業として原稿料収入や印税収入がある方でも上記の要件を満たせば問題なく適用できます。

【平均課税の計算】
1. まず平均課税対象金額を計算します。
平均課税対象金額とはその年の変動所得の金額のうち『過去2か年分の変動所得の金額の平均額』を超える部分の金額をいいます。
つまり要件Ⅱを満たしたときのその超えている部分の金額です。(下記図表参照)


2. 平均課税対象金額の計算後に課税総所得金額を「平均課税対象金額の5分の4相当額(B)」と「それ以外の金額【(A)-(B)】」に分けます。
※課税総所得金額とは総所得の金額から社保控除等の所得控除を引いた後の金額をいいます。

3. 【(A)-(B)】のみの金額に応じた所得税の税額を税額表でまず計算します。

4. そして「その税額÷【(A)-(B)】」という計算をしてこの税額が【(A)-(B)】に占める割合を算出してください。

5. 先ほど4で計算した割合を(B)にかけることで【(B)に対する税額】が計算されます。


=【(B)に対する税額】

6. 最後に【(A)-(B)に対する税額】と【(B)に対する税額】を合計してその年の所得税額とします。

倒産防止共済/小規模企業共済/文芸美術国保等の検討

■経営セーフティ共済(倒産防止共済)

経営セーフティ共済(倒産防止共済)

中小企業基盤整備機構が運営している共済の一つが「経営セーフティ共済(倒産防止共済)」です。
こちらは本来取引先の倒産等に備えて最高掛金の10倍(最高8,000万円)まで低利で借入ができるといった特典を含む制度ですが、
掛金は必要経費とすることができるため、課税の繰延べ又は節税の効果を期待できます。
なお、掛金は月5,000円から20万円まで選択でき、年末に一括で1年分の掛金を納めることもできます。
もし解約するとなった場合、一定の条件を満たせば掛金の全額が戻ってきますが、解約返戻金は課税対象となるため、解約の時期等を合理的に設計する事がポイントです。

■小規模企業共済

小規模企業共済|小規模企業共済(中小機構)

こちらも中小企業基盤整備機構が運営している共済制度になります。
小規模企業共済は個人事業主や小規模企業の役員を対象とする将来の廃業時や退職時に備える共済制度で、 将来一括又は分割して共済金を受け取ることができます。
なお、掛金は全額「小規模企業共済控除」として所得から控除することができるため、課税の繰り延べまたは節税の効果を期待できます。

■文芸美術国民健康保険組合への加入

市区町村の国民健康保険から、作家・漫画家の方が加入可能な国保組合への切替をご検討頂くことで、保険料を月額定額化し、 結果として 保険料の節約効果を得られる場合があります。
例えば文芸美術国保、関西では大阪芸能国保などがあり、加入にあたっては日本漫画家協会などの加盟団体への加入等が条件となります。
文芸美術国民健康保険組合
文美国保の加盟団体一覧

相続時の著作権評価について

 
【前提】
 
原則として、作品ごとに財産評価を行います。
 
 
【評価方法】
 
著作権の評価額は下記の式によって計算されます。
 
■年平均印税収入の額×0.5×評価倍率
 
①年平均印税収入の計算
 亡くなられた年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額で各作品ごとに計算します。
② 評価倍率の算定
亡くなられた年の後、各作品の印税収入がどの程度の年数継続するのかにつき精通者の意見を斟酌して決定し、その年数に応じた基準年利率による複利年金現価率を算出します。
基準年利率(国税庁)
複利年金現価率(国税庁

実績紹介